高野寛

Interview
高野 寛

今までのシミュレーターにはないレスポンスの良さ

インタビューの様子01

Kemperを試すきっかけは。
音楽雑誌やWeb上で話題になっていてずっと気になっていました。中々試すチャンスがなかったんですが、あるスタジオに置いてあったので試しに使ってみました。

実際に弾いてみていかがでしたか。
とにかくレスポンスの良さに感動しました。アンプシミュレーターは出始めの頃から、数え切れないくらいの製品を試してきましたけど、タイムラグやクランチのニュアンスが気になって演奏に入り込めないことが多かったですね。ところが、Kemperはタイムラグも意識しないで済むし、クリーンからクランチに変わるときのアンプ独特の変化がすごく自然で、イメージ通りのものだったんです。
本物のアンプに近いニュアンスが出せる、ということでしょうか。
結局、アンプを使う醍醐味って、ピッキングをコントロールしてアンプをドライブさせていくところだと思うんですけど、これまでの製品では、やはりアンプに比べるとちょっとした違和感があったんですね。でも、Kemperは本当にアンプそのもののニュアンスが出せる気がしました。目をつぶっていると、まるでアンプを使っているのと同じ感覚です。ピッキングやボリュームを変えると、トーンも変化してくれますよね。

ピッキングで感情を出すギタリストにとっては大切なことですね。
たとえば、あるレコーディングセッションでKemperを使っていた時、ギターを録ったあとにエンジニアさんから「ちょっとトーンが甘めだったので、もう少し明るくして、もう1テイクください」と言われたんですが、普通ならそこでKemperのトーンのつまみを調整するじゃないですか。でも、僕はKemperのセッティングは変えず、強めのピッキングに変えたら明るいトーンが出せて、OKが出たんです。手元のニュアンスがしっかりと出せる、そこがすごいところですよね。

エフェクトの再現度、完成度ともトップレベル

あとエフェクターがいいですね。再現度も高いし、音作りもしやすい。特徴をよくつかんでいて、王道なものからマニアックなものまであって、それを沢山組み合わせることもできるので、今まで聞いたこともないようなサウンドも作れるんですね。もちろん一般的なマルチエフェクターでもいろんな音は作れるけど、平面的な音になってしまうことも多くて、面白いけど存在感が薄くなる場合もあるんですが、Kemperのエフェクターは沢山重ねても音の芯がしっかりと残るから、使えるサウンドになるんです。

新しいタイプのアンプシミュレーター&マルチエフェクトと言えるでしょうね。
これまでのシミュレーターって、たとえばフェンダーの「Champ」だったら、本物と同じパラメーター、たとえばボリュームとトーンだけしかいじれないというのが多かったんですけど、Kemparはどのモデルのプロファイルもすべて同じBass, Middle, Treble, Presenceのトーンコントロールが調整できて、音作りができるのがいいですよね。

かなりフレキシブルに使えますね。
僕は、エイドリアン・ブリューとかSt.ヴィンセントみたいなエフェクターの使い方がうまいギタリストも大好きなんですが、エフェクトをうまく組み合わせて使える音を作るのは仲々難しくて、自分のプレイにはあまり取り入れていませんでした。ところがKemperなら、エフェクティブでも実用に耐える太いサウンドが作れるのに気がついて。最初はアンプとしてのレスポンスの良さに惹かれたのですが、最近ではマルチエフェクターとしても多用しているところです。

ライブの様子02

エフェクトはどんなものがお気に入りですか。
ファズ系いいですよね。本物のファズだと個体差、インピーダンス、電圧、温度に左右されますが、これなら安定しているのでいつでも同じ音が出るのが便利です。それからオーバードライブ系も音楽的な歪み感が良いです。もちろんエグい音も出るので、これらを組み合わせたらもっと面白いですよ。あと、ディレイ音がピッチシフトして上がってゆくMelody Harmonicのプリセットを使って曲を作ったりしました。

プロファイリングの方向性は無限

ご自身で使っているアンプをプロファイリングしたことはありますか。
実はまだやったことないんです。今度、自分がいつも使っているアンプのプロファイリングをしてみたいですね(笑)。そうすればセッティングが楽になりますね。それからステージで、ローランドのJCをレンタルすることがあるんですが、そのためのエフェクトボードのセッティングをチェックするのに、JCのプロファイルを使ったりします。

Kemperを導入されて変わったことはありますか。
プライベートスタジオのエレキの録音のクオリティが上がりましたね。いわゆるプラグインのアンプシミュレーターは使わなくなりました。あと、僕は昔からほとんどかけ録りだったんですけど、これを手に入れてからはついにかけ録り100%になりました。もう欠かせないですね。興味のある人はぜひ試してみて欲しいです。

高野寛オフィシャルサイトhttp://www.haas.jp/