“Minifooger”はロー・コストですが、音に関わる部分に一切の妥協はありません。

1998年の発売以来、多くのクリエイターに愛されてきた“Moogerfooger”。その弟分として新開発された“Minifooger”は、コンパクトなサイズとギタリスト~ベーシストに親しみやすい特性、さらには高いコスト・パフォーマンスをいかにして実現したのか。モーグ・ミュージックの開発チームに聞く。



“CV”の効能をわかりやすく伝えるべくエクスプレッション・ペダル入力を装備しました

--先頃、“Moogerfooger”に次ぐ新しいストンプボックス・シリーズとして“Minifooger”が立ち上げられました。これらの製品は、どのようなコンセプトのもとに開発されましたか?

モーグ・ミュージック(以下MM) : 1970年代、ボブ・モーグがCMI/マエストロのために設計した “PS-1A Phase Shifter” や “Fuzztain” を始めとして、私たちは長い間、ペダル・エフェクターの開発にも力を入れてきました。そんな歴史を踏まえつつ、ストンプボックスとスタジオ・クオリティのラック・エフェクト、あるいはシンセサイザー・モジュールとの間を橋渡しする製品として98年にリリースされたのが“Moogerfooger”アナログ・エフェクター・シリーズだったわけですが、これを世に出して以来、多くのギタリストやベーシストから「よりコンパクトでシンプルなペダルが欲しい」とのリクエストが私たちのもとに寄せられるようになりました。“Minifooger”は、そんな彼らの声に応えるストンプボックスを目指して設計されています。

--“Minifooger”の実機に触れて、まず高級感溢れるケースの作りが印象に残りました。“Moogerfooger”のコア・イメージを継承しつつ小型化されたアルミニウム製ケースの設計においては、どのような点に注意しましたか?

米ノース・カロライナ州アシュヴィル近郊に建つモーグ・ミュージックの社屋外観。

MM : ケース・デザインにおいては、当然ながらサウンド、品質、耐久性・信頼性のすべてを高めることを目指しています。

--すべての“Minifooger”は9Vアダプター/9V電池で動作しますが、中には内部回路にて電源を昇圧するモデルもありますか?

MM : すべての“Minifooger”は、9Vという限られた電圧から良好なサウンドを得られるよう設計されています。

--すべてのモデルにモーグ“EP-3”を始めとするエクスプレッション・ペダルを接続可能なのも、素晴らしい仕様ですね。

MM : 多くのユーザーが私たちの製品を支持して下さっている理由のひとつに、制御電圧/CV(Control Voltage)を介したモジュールの有機的なコントロール・リンクがあげられます。“Mini fooger”シリーズでは、このCVの効能をよりわかりやすい形でプレイヤーに伝えたいと思い、すべてのモデルにCV/エクスプレッション・ペダル入力端子を装備したんです。ただし、このシリーズは“CV出力端子”を装備していませんので、他のエフェクト/モジュールとのコントロール・リンクをフルに活用したい場合は“Moogerfooger”をお試し下さい。

--“Minifooger”ではON/OFFスイッチにトゥルー・バイパス配線が採用されていますが、これまでにリリースされた“Moogerfooger”は基本的にバッファード・バイパスを採用していたのでしょうか?

MM : はい。

--“Minifooger”は米国で組み立てられているにもかかわらず、ほとんどのモデルで200ドル以下という入手しやすい価格を実現しています。高いコスト・パフォーマンスを実現する上では、どのような努力が必要でしたか?

MM : アルミニウム製ダイキャスト・ボディの採用とそれに伴なうウッド・サイド・パネルの廃止、シンプルな入出力といった仕様によりコスト・ダウンを実現しています。サウンドに関わる部分での妥協は一切、ありません。